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200* 2008 

言葉  就職活動 

人間万事塞翁が馬 

                  「樸」とは、山から切り出し手を加えていないアラ木(原木)のことです。


                  老子はいたくこの樸を絶賛する。たとえば十九章には聖人の在り方として「素を見、樸を抱き、私少なく欲寡(すく)なし」とある。
                  素朴とはもともと素樸のことだ。また二十八章には「樸散ずれば器と為る」ともある。

                  樸には総合性があり、それが散ずることで器という専門性が実現する。
                  なにか特定の技能に秀でたりすることを、老子は「散ずる」と表現して否定するのである。
                  この点では、儒教の孔子とも珍しく意見が一致する。『論語』にも、「君子は器ならず」とある。
                  今でいう「個性化」などマッピラゴメンということだろう。
                  器とは、つまり人に使われやすい器用さのことだ。

                  樸は素晴らしい。その考えにゆらぎはないのだが、無数の器の世話になっている現状では、それは誰にも言えず、胸に秘めるしかない。