「脱皮できない蛇は滅びる。意見を脱皮してゆくことを妨げられた精神も同じことである。」ニーチェ

蛇は、成長に合わせて脱皮し、「脱皮しない蛇は死ぬ」という諺もある。

自分の殻は、自身の強さであったり、自信であったりするが、場合によっては、成長を妨げる弱点にもなってしまう。

自分の殻の中に閉じこもっていることは、大変気持ちの良いことだが、成長はない。

脱皮にはタイミングというものがあって、それは脱皮を試みる本人にしか解らないものです。それには本人に「脱皮したい」という強い気持ちが必要。

脱皮には恐怖がついてまわります。それは新しい自分になるということであり、その新しさを得るために、これまで築いてきた愛着のある「ヌクヌクとした衣」を捨てるという行為だからです。

しかも新しい自分のほうが、これまでの自分よりも良いかどうかは、実際に変わってみるまで誰にも解らないという高リスクのオマケまで付いてきます。脱皮し続けたニーチェが、精神病院での死を迎えているというのは、ある意味で偶然ではないのです。

「人脈」天毛伸一

14年前にたった一人で起業し、現在は六本木ヒルズに本社を構える「ブレイン」社長の天毛伸一さん(41)は、「人脈」についてこう話す。

「人脈をつくりたいと思ったことは一度もない。『あの人と知り合いになると仕事で役立つ』などと言われて、だれかと会うこともない。出会いは自然発生的。そうやって出会った人を、好きになるかどうかに尽きる。好きになった人との付き合いを大切に育てていくことが最重要で、自分に課しているのは、裏切らないということだけです」

普段、食事や酒を飲む時は、多くて3人までだ。異業種・同業種の交流会や起業家の集まりなどに以前はよく誘われたが、断り続けていると、誘われなくなった。“人脈という枠にくくれない人とのつながり”こそが、自分を助けてくれたという。

「一生かけて一人の友達ができたら御の字。まだ見ぬ遠くの人脈を求めるより、今ある縁に目を向け、1年の関係より2年、2年より3年と、長い関係を築くことのほうがはるかに尊いと思う」

「情報を得ようと思わなくても自然と入ってくる時代。必要以上に摂取すると依存症になってしまう。人脈もそうで、強力なフィルタリングを設けたほうがいいと思うんです」