14年前にたった一人で起業し、現在は六本木ヒルズに本社を構える「ブレイン」社長の天毛伸一さん(41)は、「人脈」についてこう話す。
「人脈をつくりたいと思ったことは一度もない。『あの人と知り合いになると仕事で役立つ』などと言われて、だれかと会うこともない。出会いは自然発生的。そうやって出会った人を、好きになるかどうかに尽きる。好きになった人との付き合いを大切に育てていくことが最重要で、自分に課しているのは、裏切らないということだけです」
普段、食事や酒を飲む時は、多くて3人までだ。異業種・同業種の交流会や起業家の集まりなどに以前はよく誘われたが、断り続けていると、誘われなくなった。“人脈という枠にくくれない人とのつながり”こそが、自分を助けてくれたという。
「一生かけて一人の友達ができたら御の字。まだ見ぬ遠くの人脈を求めるより、今ある縁に目を向け、1年の関係より2年、2年より3年と、長い関係を築くことのほうがはるかに尊いと思う」
「情報を得ようと思わなくても自然と入ってくる時代。必要以上に摂取すると依存症になってしまう。人脈もそうで、強力なフィルタリングを設けたほうがいいと思うんです」