夜と霧

「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」ニーチェ

生きることは日々、時々刻々、問いかけてくる。

わたしたちはその問いに答えを迫れている。

考えこんだり言辞を弄することによってではなく、ひとえに行動によって、適切な状態によって、正しい答えは出される。

生きることはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けることにほかならない。

この要請と存在することの意味は、人により、また瞬間ごとに変化する。

したがって、生きる意味を一般論で語ることも答えることもできない。

生きることの意味を問うのをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。

具体的な運命が人間を苦しめるなら、人はこの苦しみを責務と、たった一度だけ課される責務としなければならないだろう。

人間は苦しみと向きあい、この苦しみに満ちた運命とともに、全宇宙にたった一度、そしてふたつとないあり方で存在しているのだという意識にまで到達しなければならない。

だれもその人から苦しみを取り除くことはできない。

だれもその人の身代わりになって苦しみをとことん苦しむことはできない。

この運命を引き当てたその人自身がこの苦しみを引き受けることに、ふたつとないなにかをなしとげるたった一度の可能性はあるのだ。

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自分を待っている仕事や愛する人間にたいする責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。

まさに、自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられるのだ。

フォローワーシップとは?

フォロワーシップとは、1人のリーダー(監督)がチームを引っ張るのではなく、メンバー一人ひとりがリーダーとなり、全員が主体的にチームを形作っていくことです。

例えば、自分たちのスタイルや次の試合の作戦などを、監督が決めるのではなく、選手たちで話し合って決めてもらいます。試合中には、必要に応じて自分たちで軌道修正してもらいます。

以前はこうしたタイプの監督やコーチは本当に少なかったですが、最近はラグビーの世界でも広まっています。

フォロワーシップを重視する私が、普段何をしているのかといえば、彼らを褒めるでも叱るでもなく、見ています。そして、彼らの話を聞いています。必要があれば、彼らと話し合います。

つまり、「観察」と「対話」に徹するのです。もちろん、対話の主導権はいつも握っていますし、その裏では誰よりも考え抜いていますが、主体的な決断は選手たちに任せています。

さらにもう1つ、私がいつも注目しているのはチームやメンバーにとってやりがいのある仕事が、毎日少しでも進捗する、

つまり「小さな進捗」です。毎日、私は必ず練習の終わりに、全員に1日を振り返ったり、日記をつけてもらったりするようにしています。

また、その日にチームや個人が前進したと思ったら、そのことをフィードバックします。そして、小さな進捗を自覚してもらうのです。

なぜかといえば、チームにとって最も大事なのはメンバー一人ひとりの「成長」で、そのために何よりも必要なのは、小さな進捗と失敗経験だからです。

失敗しない限り、気づきは得られません。日々コツコツと進捗を確認しながら、失敗とチャレンジのサイクルを速く回すほど、成長スピードは速まるのです。

そのためには、毎日5分でもいいから1日を振り返って、その成果や心情や失敗をよく見つめ、小さな進捗を自覚する他に成長への道はありません。

もちろん、現実的には「成果」も重要です。しかし、たとえ目標を達成できたとしても、メンバーが成長していなければ次はありません。

スポーツでもビジネスでも、監督やマネジャーは、最終的に成功するためにはメンバーが成長しているかどうかを大事にし、その結果として組織がよくなっていく姿を目指すべきなのです。

そこで気をつけなくてはならないのは、振り返りによって成長し、成果につながるまでには時差があるということです。リーダーの皆さんのなかには、その時差が怖い方もいるかもしれません。

しかし、どの分野でも、こうした積み重ねなしに技術が上達することはあり得ません。リーダーには、時差を恐れずに部下の成長を追求する姿勢が求められるのです。

そこで活用してほしいのが「小さな進捗」です。いきなり結果に結びつかなくても、「今日はこれができるようになった」などの小さな進捗は、実はとてもパワフルな効果をもたらすことが最近の研究でも明らかになっているのです。

リーダーにとって第一に重要なのは、誰かのせいにしないこと、「自責」で考えることです。どんな部下であっても、リーダーとして彼らに寄り添い、対話して、成長を促すことはできます。

メンバーが成長しないのは自分の責任と考え、彼らの成長のために行動することが大切です。

第二に重要なのは、リーダー自身が成長することです。メンバー以上に成長し続けなくては、良い指導を行う良いリーダーにはなれません。

そのためには、いったん今まで学んだものや自分の価値感、成功体験を捨ててみる。

別の方法にトライしてみて、失敗しながら学んでいく姿勢が欠かせないと思います。

成長するためには、リーダーも毎日振り返らなくてはなりません。さらに、日常的にフィードバックを受けることも大切です。

自分のことは自分では分かりませんから、メンバーや周囲に聞くしかないのです。

例えば、私はメンバーに何かを説明したとき、「今の説明、分かった?」ではなく「今の説明、どうだった?」と聞くようにしています。

すると、「今日は長かったですね」といったフィードバックを受けられます。

こうして自分をさらけ出すこともリーダーにとって重要なことだと思います。

人は誰でも必ず成長する。そう信じて日々チャレンジし、失敗して、振り返り続けましょう。その先に、きっとチームの明るい未来があるはずです。

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部下力とは「貢献力」×「批判力」

20年ほど前にフォロワーシップを体系的に解説して重要性を唱えたロバート・ケリー教授(米国カーネギー・メロン大学)は、その思考・行動傾向を「貢献力」と「批判力」という2軸から説明しています。

「貢献力」とは、与えられた役割を受け入れて忠実に取り組む意識や行動。また「批判力」は、既定の役割や上司からの指示について自分で考え、主張する意識、行動です。

 なぜこの2軸が重要なのか。それは複雑性の増す環境下で、正解が1つではない課題に速やかに着手し、行動しながら学び、修正しながら進む組織全体の学習力が必要だからです。

そこでは必ずしもベターではない自分の役割や状況自体を受け入れること(貢献力)も、組織の一員として必要でしょう。

しかし同時に、全体最適に向けて自分の見解を表明し、多様な視点を混ぜ合わせる中で、組織の集合知レベルを上げる姿勢(批判力)も必要です。

 フォロワーが“組織や上司に従う人”という固定観念を脱すること、理念や役割への忠誠と自律的な思考・行動をブレンドさせること。それを促していくための組織的メッセージや、リーダーの姿勢がますます重要になると思います。

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フォロワーシップとは、 企業組織においてリーダーを補佐するフォロワー(部下やメンバーなど)が、リーダーに対して自律的支援を行うこと です。

具体的には、フォロワーはリーダーの指示に従い業務を遂行するだけでなく、リーダーの行為に誤りがあれば意見するなど自分で考えて主体的な働きかけにより支援します。

 ①背景と目的をしっかり伝える

 マネジメントはチームに対して、これから行うこと、進める仕事の目的と背景をしっかり伝える必要があります。「何のために行うか」が目的、「なぜ行うか」が背景です。

例えば、目的に「何かを高める」とあるとき、背景には「そのことが、弱く、事業成長の障害となっている」ということになります。

この二つが正確に伝わっていれば、仕事を進めるにあたっての本質的な問題の発見や、目標を達成する過程で正しい方向に進んでいることの確認を、チームが自律的に行うことができます。ブレない仕事を進めることができるということです。目標値を伝えるだけでは、こういったチームの自律的な働きは期待できません。

 ②安心して話せる環境をつくる

 チームメンバーが安心して議論できる「心理的に安全な環境」をつくることが必要です。

チームが仕事についての議論を行う場面では、「人」を評価や考察する場ではなく、「仕事や課題、心配事」を評価、考察、対策する場であることを明確にします。

これはチームのコミュニケーションの場では、失敗や問題点、心配事について安心して話せる場であるというルールを定めることでもあります。

 ③エスカレーションを真摯に受け止める

 チームのディスカッションの結果、エスカレーションがあった場合は、これに対応することが必要です。

対応するとは、すべて実行するという意味ではなく、「今できることはどこまでで、先々はどのように対応するか」あるいは「全体の俯瞰を述べ、そのエスカレーションは、今現在は実行するタイミングではない」など、チームが納得するまで一緒に議論する事です。

もちろん、必要な対策は直ちに実行します。

①自分も含めて相互依存であること

 チームリーダーはメンバーの一人であり、自分も含めて相互依存関係であることと、そのために意見をはっきり述べてほしい旨をメンバーに伝えることが必要です。

メンバーを慮って仕事を抱え込みパンクするリーダーをよく見かけますが、これはリーダーシップとはまったく逆のことです。プレイヤーとして参加し、自分から相互依存することを明言しないと、メンバーからの相互依存を引き出すことはできません。

 ②潜在的なチャンスを述べる

 仕事の目標達成だけでなく、仕事を通してチームやメンバーにどのような潜在的チャンスがあるかを述べることが必要です。

QCDの目標を達成するだけでなく、スキルアップや新しい経験などの成長機会、新しい方法の試みや検証、失敗から得られる良い方法など、チームとして仕事を通して得られることを挙げ、それを獲得していくことを見えるように伝えることです。

 ③進捗だけでなく手応えを伝える

 仕事の達成度について、進捗だけを議論すると、遅れやトラブルなどの後ろ向きな議論が中心となってしまいます。

遅れには対策が必要ですが、同時に手応えを伝えることが必要です。例えば、遅れているというより「ここまで来ている、あとはここを突破すればよい」など自信や手応えを伝え、目標に向かって近づいてきていることを共有します。

①相互依存関係を実行する

 メンバー間では、知恵と工数の貸し借りを大いに行うことが必要です。損得ではなく貸し借りです。

お互いに、積極的に借りることから始める必要があります。アドバイスをもらったら(知恵を借りたら)、実行結果から得られた発見を伝える(知恵を返す)。手伝ってもらったら、応援をする。仕事は個人で戦うものではなく、チームで働くものです。

 ②対立から最良を得る

  チームメンバーはまず対立を避けないことを旨とします。実りのある対立にするために、異なる価値観や意見に至る個々人の背景を知ることが必要です。

「その人がなぜそう考えるか」をその人の能力や姿勢のせいにせず、「どこからその考えに至ったのか」の要因について聞き、知るようにします。

そうすることで、相違の融合からチームとしての最良の策が得られます。つまり常に「いいとこどり」が可能になります。

 ③大小によらず失敗を共有する

 チームのミーティングで、うまく行っていることしか話さないような場面をよくみかけます。

自分でリカバーできた、ちょっとした失敗やつまづきについては発表しない、話さない人が多いのです。しかし大きな問題のほとんどは、小さな問題が偶然に重なって起きています。

通常は、あらかじめ考えられる大きな問題については対策が成されているものです。小さな失敗の起き方とその対策を共有し、未然防止やクイックリーな対策をチームとして行うことは、仕事をスムーズに進める力を得ることと同義です。

 まず借りをつくる、対立を避けない、失敗を話す、これらはいずれも「難しい会話」です。これを素直にできることが、チームとしてのまとまりそのものとなります。

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独力で育った今どきの30代たち

30 代の就職氷河期世代である。新人時代から親身に仕事を教えられた記憶がなく、常に自力で困難を乗り越えてこなければならなかった。十分な教育を受けないまま、多量の仕事をこなさねばならず、心身ともに余裕がない状態だ。

さらに、彼らが入社したのは成果主義がもてはやされた時期。自律型人材の育成が声高に叫ばれ、「自ら考え、行動する30 代」「セルフマネジメントできる30 代」が生み出されていった。

今、組織の中核で活躍しているのは間違いなくこの層だろう。厳しい就職戦線を切り抜けてきただけあって基礎能力は高く、実際に成果を上げている人材も多い。

その反面、自分の仕事、自分の成果にしか関心を向けられなくなっているタイプが多いのも事実である。

上司に育てられた経験が希薄なため、後輩の育成方法を習得しづらい環境に置かれた。ましてや、後輩・部下の20 代は「オンリーワン」がもてはやされた時代に育ち、熾烈な競争に慣れていない。社会への貢献意識が高く、情報リテラシーに長けている反面、先輩から厳しいことをいわれると一気に自信を喪失してしまうタイプが多い。放置されればされたで不安を募らせ、落ち込んでしまったりもする。

セルフマネジメント力の高い30 代にしてみれば、こうした20 代の不安は理解しづらいらしい。また、自分が自力で育ってきているため、部下や後輩をサポートする必要性も感じられない傾向にある。

語りの場を持つことがメンバーシップの第一歩

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部下に仕事を依頼するときには、そのタスクの目的や仕事の意味・本人がやる意義をしっかりと伝えましょう。

その業務が顧客・組織の何にどうつながっていくのか、大きな視点を持たせることが大切です。そして「なるべく早く」ではなく、締め切りを明確に伝えましょう。

ポイントは最終の締め切りだけでなく、「途中締め切り」を設定すること。例えば、6割くらい大枠が固まったら一度相談の機会を設けるようにしておくと、大きな修正をしなくなります。

また、社内向けの資料なのか顧客向けの資料なのかによって、アウトプットの質をすり合わせておくことで部下も必要な時間を計れるようになります。最初のすり合わせが何よりも重要です。

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1.模範型フォロワー「協働者」

貢献力「高」(積極的)、批判力「高」(主体的)の理想的なタイプです。

主体的、かつ積極的に動ける良きフォロワーであるだけでなく、時にリーダーシップを発揮する事もできる、将来のリーダー候補と考えられるでしょう。

2.孤立型フォロワー「破壊者」

貢献力「低」(消極的)、批判力「高」(主体的)の評論家タイプです。

批判するばかりで自らは積極的に動かないため、周囲から孤立する事も多いでしょう。リーダーやメンバーと信頼関係を築くことが出来れば、「協働者」となるポテンシャルも持っています。

3.順応型フォロワー「従事者」

貢献力「高」(積極的)、批判力「低」(依存的)のイエスマンタイプです。

一見良きフォロワーに見えますが、リーダーへの依存度が高いため、このタイプが多い組織は発展性が低くなることがあります。指示通り都合よく動いてくれるので、このタイプばかりを重宝するリーダーが多いことが問題視されています。

4.消極型フォロワー「逃避者」

貢献力「低」(消極的)、批判力「低」(依存的)の強制労働者タイプです。

自ら考えることをせず、指示されたことを嫌々ながら最低限こなすだけの人々です。フォロワーシップの考え方には当てはまらない組織との関わり方です。

5.実務型フォロワー「実践者」

貢献力、批判力ともに「中」の凡庸なタイプです。

自らの業務の範囲内でフォロワーシップを発揮します。ストレッチした目標に挑戦することで、「協働者」を目指すことが可能です。

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部下との「信頼関係」も忘れてはいけない

もうひとつ大切なのが「信頼関係」です。心理カウンセラーで経営コンサルタントの小倉広氏は「信頼なくしてフォロワーシップなし」と述べています。たとえリーダーが正論を一生懸命言っていたとしても、部下に信頼されていなければその言葉には説得力がなく、部下もついてこないからです。そんな小倉氏は、部下との信頼関係を高める “3つの法則” を紹介してくれています。

1つめは「相手を大切にする」こと。価値観に上下や正誤は存在しないと自覚し、相手の価値観も尊重する――これだけでも、相手を大切にすることにつながります。たとえば、20代をターゲットにした商品のロゴを決めるとき、20代の若手部下が「類似品で似たデザインのものを見たことがあるから、このロゴ案は避けたほうがいいのでは?」と言ったら、それは貴重な意見となるでしょう。そこをばっさり切り捨てるのはNGです。

2つめは「自分を指さす」こと。問題が起こっても部下のせいにせず、原因はリーダーである自分にあると考え、自分を変えることで解決するという姿勢を貫くことを意味します。たとえば、チームの目標がなかなか達成できないときは、部下に原因を探すのではなく、「そもそも目標が高すぎた? これでは部下のモチベーションも上げてあげられないよな……」「中間報告の段階でもっとヒアリングして打開策を検討しておくべきだった」などと、自分がどうすればよかったかを考えましょう。

そして最後は「誠実である」ことです。嘘をつかない、口で言うことと行動を矛盾させない、利己ではなく利他の心を持つ――こうした道徳的な行ないを常に心がけましょう。

信頼関係ができあがることで初めて、部下は安心して上司との間に建設的な摩擦を起こすことができると、小倉氏は言います。部下から良い意見を引き出せれば、より良い筋道を見つけ、いま以上に大きな成果が出せるかもしれませんね。

リーダーシップとフォロワーシップの関係は、車の前輪と後輪によく例えられます。前輪(=リーダー)が前に進もうとしても、「あなたのようなリーダーにはついていきたくない」と後輪(=フォロワー)がブレーキを踏んだら、前には進めませんよね。この後輪の存在はとても大きく、ケリー氏は「組織の8割はフォロワーシップで決まる」とまで述べています。

しかし、それを理解しているリーダーはそう多くはありません。そのため、リーダーはどんどんアクセルを踏み、一方のフォロワーはブレーキを踏み続ける……そうなると、車が壊れてしまうのは時間の問題でしょう。

小倉氏によれば、こうした問題は数多くの組織で起こっているとのこと。リーダーとフォロワーで仕事に対する情熱やビジョンが違う――そんな組織のゆがみを経験したことのある人も多いのではないでしょうか。

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「批判」とは、単に否定的になったり、粗探しをすることではありません。フォロワーシップにおける批判とは、「物事を分析・検討し、吟味を重ねる」ことを意味します。このような思考法を「クリティカル・シンキング(批判的思考)」といいます。

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1つ目は、「人間の好き嫌いに悩まされず、仕事ができるようになる」効果です。

いくら理想的なフォロワーシップを持っているフォロワーでも、「あの人とはそりが合わない」と考えることもあるでしょう。そりの合わない相手とは、最小限のコミュニケーションにしたいという気持ちは理解できるものです。

しかし、理想的なフォロワーは、「組織の目的達成のため」には、個人的な感情に関係なく仕事をすべきだと考えます。理想的なフォロワーは、必要に応じて、だれとでも、個人的な人間の好き嫌いに悩まされず仕事ができるようになります。

2つ目は、「マネージャーやリーダーとしての予備的訓練となる」効果です。「協働者」の説明で述べた通り、理想的なフォロワーは、積極的に自分の業務範囲外の仕事を行い、自分の業務範囲外のスキルを身につけます。また、理想的なフォロワーは、業務範囲外の仕事を通して、ほかの部署やチームとの信頼関係を築き、リーダーとしての能力を身につけます。

3つ目は、「リーダーからの評価が向上し、より大きな権限を獲得する」効果です。「フォロワーシップを発揮している行動の例」で述べた通り、理想的なフォロワーは、組織の目的達成のために新たな施策や効率化のための施策を提案します。その結果、発案者として、フォロワーは小さなチームのリーダーを任されることも考えられます。

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フォロワーシップを伸ばすために意識すべき3つのこと

1:自分のフォロワーシップタイプを知り、「協働者」を目指す

フォロワーが、フォロワーシップを伸ばすためには、まず自分のフォロワーシップのタイプを知る必要があります。その上で、フォロワー自身が「協働者」になるために不足している点を考えましょう。

たとえば、破壊者のタイプは、「積極性」を伸ばすことで協働者に近づいていけます。破壊者は、積極的に業務を行うのはもちろん、特にリーダーと積極的にコミュニケーションをとりましょう。リーダーに自分からフィードバックをもらいに行くことで、リーダーの意図や考え方を学び、「組織の目的」を見誤らないようになります。

また、批判をヘイトや愚痴のように行うのではなく、「どうしたら今の不満が解消するのか」考え、健全な提言に変えましょう。

2:批判・提言する勇気を持つ

フォロワーは、必要に応じて、批判や提言を行う勇気を持つ必要があります。

いくらフォロワーが組織のビジョンや目的を考えて、批判や提言を行うとしても、リーダーに意見を言うのは、勇気が必要です。

また、リーダーの方針が組織のビジョンや目的に沿った、フォロワーにとって納得いくものだとしても、チームメンバーから反対を受けるという場合もあります。リーダーの方針が、フォロワーにとって納得いくものだった場合、フォロワーは、リーダーの意見を擁護する勇気を持つ必要があります。

フォロワーが批判や提言を行う際には、「バリューを出していないフォロワーの批判や提言は聞き入れられにくい」ことに注意しましょう。業務に不真面目なフォロワーは、リーダーやチームメンバーから信頼を得ていません。

バリューを出していないフォロワーの批判や提言は、たとえ組織のビジョンや目的に即した批判や提言でも「自分の都合だけで言ってないか」「お前には言われたくない」と思われ聞き入れられなくなってしまいます。

3:ジェネラリストを目指す

ジェネラリストとは、スペシャリストと逆の概念で、広範囲な知識や技能を持つ人のことです。

組織において、組織の成果を最大化するために望ましい体制は、1人が欠けても他のメンバーでカバーできる体制です。

理想的なフォロワーは、「チームのだれかが欠けてできた穴」をカバーできる人材です。だれかが欠けた穴をカバーするためには、フォロワーはチームの仕事のすべてをこなせることが望ましいです。つまり、理想的なフォロワーになるためには、ジェネラリストを目指す必要があるのです。

理想的なフォロワーは、チーム内のどのような業務が振られてもこなせます。たとえば、リーダーが業務の再配分を検討しているとします。あなたの業務に余裕があれば、やったことのない業務でも積極的に立候補してみましょう。「あまりに忙しく、教える暇もない」という状況であっても、リーダーにとって、非常にありがたい申し出として歓迎されるでしょう。

フォロワーがジェネラリストとして成長するためには、別チームの助っ人などへの立候補もおすすめです。助っ人として別チームの業務を学ぶことで、フォロワーは、自分のチームの業務だけではなく、より広範囲の業務においてジェネラリストを目指せます。

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