キヤノン「EOS Kiss X5 ダブルズームキット」には、「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」「EF-S55-250mm F4-5.6 IS II」の2本が付属しますが、いずれも同社で「EF-S」と呼ばれるAPS-Cサイズセンサーを搭載するデジタルカメラ専用のレンズです。
EOS Kiss X5には35ミリのフイルム時代から用意されている「EFレンズ」も装着でき、その慣習もあって、レンズにプリントされている焦点距離は、EF-SでもEFでも、35ミリサイズセンサーを搭載したカメラでその数値となる焦点距離となっています。
35ミリサイズではなくAPS-Cサイズセンサーを搭載するEOS Kiss X5では、レンズにプリントされた数値の1.6倍がいわゆる35ミリ換算の焦点距離となり、「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II」では29~88ミリ相当となります。もう1本の「EF-S55-250mm F4-5.6 IS II」では88~400ミリ相当ですね。
この「×1.6」は、EOS Kiss X5に「EF」レンズを取り付けた際も同様です。つまり、「EF24-70mm F2.8L II USM」というEFレンズをEOS Kiss X5に取り付けると、35ミリ換算での焦点距離は38.4~112ミリ相当となります。EFレンズをEOS Kiss X5で使おうとすると、焦点距離は望遠側によってしまうのです。同社「EF-S」レンズ一覧を見ると広角側の焦点距離が15ミリや18ミリ(35ミリ換算では24ミリ、29ミリ)と装着時に30ミリを切るようになっていることが分かります。
1本で幅広い撮影領域をカバーすることを考えるならば、装着時に望遠寄りとなってしまうEFレンズよりも、EF-SのようにAPS-Cサイズ専用(メーカーによってはデジタル専用と表現することもあります)かつ、使用頻度の高い焦点距離を幅広くカバーする製品のなかからレンズを選ぶ方が、使い勝手に優れるでしょう。